このブログでは、少年野球の撮り方をあれこれ書いてきました。10年間、毎週グラウンドに通って、年間4〜5万枚を撮り続けています。
そんな私が、正直に告白しなければならないことがあります。
息子が野球を始めた当時の写真が、ほとんど残っていません。
今になって、これを本当に後悔しています。この記事は、うまく撮るための話ではありません。
これから始まる方に、同じ後悔をしてほしくないという気持ちで書いています。
- カメラを持っていたのに、なぜ撮らなかったのか
- 最初に撮っておくべきだった4つのもの
- 「最初の1枚」がないと、何が失われるのか
正直に言うと、入団当時の写真がほとんどない

息子がまだ小学校低学年の頃、試合に出ることも少なかった中で撮った数少ない1枚です。夏の暑い日、出番のないままベンチでお茶を飲んでいる姿が残っていました。
私の写真フォルダを年度別に開いていくと、はっきりした偏りがあります。
枚数が本格的に増えるのは、息子が5年生になってからです。それ以前、つまり入団してからの数年間は、驚くほど写真が少ない。フォルダの重さがまるで違います。
入団式、初めてユニフォームを着た日、初めての練習、初めて試合に連れて行ってもらった日。「初めて」がたくさんあったはずの時期の記録が、ほとんど手元にありません。
これは、あとから取り返しがつかないことです。プレーの写真なら、次の試合でまた撮れます。ところが入団した日は、一度きりしか来ません。
カメラは持っていた。それでも撮らなかった
言い訳をさせてもらうと、機材がなかったわけではありません。カメラは持って行っていました。それなのに撮らなかったのです。
理由を振り返ると、2つあったと思います。

梶原(管理人)
始めた当初もカメラは持って行っていました。ただ、自分も野球をやったことがなかったので、親子ともども初心者だったんです。それに私自身、まだその環境に慣れていなかった。だから写真は少ないんですよね。
ひとつは、野球というものが分からなかったこと。どこで何が起きるのか、どの場面が大事なのかが読めません。
撮るべき瞬間が分からないので、カメラを構えるきっかけがつかめませんでした。
もうひとつは、その場の空気に馴染めていなかったこと。保護者の方々ともまだ距離があり、自分がどう振る舞えばいいのか分からない。そんな状態でカメラを構えるのは、正直ためらわれました。
この2つは、まさに「始めたばかりの人」全員に当てはまる条件です。だからこそ多くの人が、最初の時期を撮り逃してしまうのだと思います。
そして、慣れて撮れるようになった頃には、その時期はもう終わっています。
5年生の初打席|こわばった顔が残っていた

そんな中でも、残っていてよかったと心から思う1枚があります。
上の写真は息子が5年生で、初めて代打として打席に立った日のものです。
写っているのは、顔がこわばって、めちゃくちゃ緊張している姿です。かっこいい写真ではありません。ヒットを打った瞬間でもありません。ただ、バットを構えて固まっている。
でも、この1枚があってよかったと思うのです。理由ははっきりしています。
その後の息子は、打席で緊張しなくなったからです。6年生になり、中学生になり、当たり前のように打席に入るようになりました。あのこわばった顔は、もう二度と見られません。
つまり「うまくできていない姿」こそが、記録として貴重だったということです。できるようになった姿は、この先いくらでも撮れます。できなかった時期は、一度きりです。
いま思う、最初に撮っておくべきだったもの
では具体的に何を撮っておけばよかったのか。振り返って、はっきり思い浮かぶものがあります。
① 道具をそろえた日
グラブ、バット、スパイク、ヘルメット。買いそろえた日は、家族にとってひとつの節目です。「これから始まる」という空気が、その日にしかありません。
② 家で一度、着てみた姿
ユニフォームや練習着を、家で試しに着てみる。あの照れくさそうな、それでいて誇らしげな表情。グラウンドではなく、家の中でしか撮れない1枚です。
③ そろえた道具一式
意外に思われるかもしれませんが、道具だけを並べて撮っておくのもおすすめです。子どもが写っていなくても構いません。
グラブの大きさ、バットの長さ、スパイクのサイズ。数年後に見返すと、道具そのものが小ささを物語ります。人物写真とは別の形で、成長が記録されるのです。
④ 「これから頑張るぞ」という顔
入団式でも、初めての練習の朝でも構いません。まだ何もできない状態で、これから始めようとしている表情。技術がゼロの時期にしか存在しない顔です。
この4つは、どれもグラウンドで狙わなくても撮れるものばかりです。野球が分からなくても、環境に慣れていなくても撮れます。だからこそ、始めたばかりの時期でも実行できます。
なぜ「最初」が効いてくるのか

先ほどの初打席から6年後、中学校最後の打席に立つ息子です。体つき、表情、フォームのすべてに成長が感じられます。
最初の1枚が大事な理由は、シンプルです。
成長記録は、最初の1枚があって初めて成立するからです。途中から撮り始めても、その子がどこから来たのかは分かりません。
子どもたちの変化は、こちらが驚くほど早く進みます。顔つきも体つきも、どんどん大きくなっていく。
毎週見ていると気づかないのに、数年前の写真を開いた瞬間に「こんなに小さかったんだ」と声が出ます。
その感覚を味わうには、比べる相手が必要です。最初の写真がなければ、いまの姿がどれだけ変わったのかも分からないのです。
私の場合、比較の起点が5年生になってしまいました。もし入団した日の1枚があれば、そこからの6年間を並べられたはずです。それができないことが、いちばんの心残りです。
うまく撮れなくていい
最後にお伝えしたいことがあります。
始めたばかりの頃、「まだ上手く撮れないから」と思って構えるのをやめてしまうことがあります。私がまさにそうでした。
設定も分からない、どこで撮ればいいかも分からない。だから撮らなかった。でも、それは間違いでした。下手な写真でも、ないよりは何万倍もいいのです。
ピントが甘くても、傾いていても、暗くても構いません。数年後に見返したとき、問われるのは画質ではなく「その日が写っているかどうか」だからです。
技術は撮りながら身につきますが、過ぎた日は戻ってきません。
⚠️ 重要ポイント:スマホでも十分です
一眼カメラを持っていなくても問題ありません。道具をそろえた日も、家で着てみた姿も、スマホで十分に残せます。むしろ手軽に構えられるぶん、その瞬間を逃しにくいくらいです。「いいカメラを買ってから」と待っているうちに、撮れる時期は過ぎていきます。
まとめ:一度きりの時期は、いま過ぎている
10年撮り続けてきた私が、いちばん後悔しているのは技術のことではありません。最初の数年を撮っていなかったこと、それだけです。
プレーの写真は、練習すればうまくなります。設定も、立ち位置も、あとから覚えられます。ところが「始めたばかりの姿」だけは、撮り直しがききません。
- ✅ 道具をそろえた日、家で着てみた姿、道具一式を撮っておく
- ✅ うまくできていない姿こそ、記録として貴重になる
- ✅ 下手な写真でも、ないよりは何万倍もいい
もしお子さんが野球を始めたばかりなら、今週末にでもカメラを向けてみてください。グラウンドでなくて構いません。家でグラブを磨いている姿でも、朝の支度をしている姿でもいいのです。
その1枚は、6年後にとんでもない価値を持ちます。私が持っていないものを、あなたは持つことができます。
本記事は2026年現在の管理人の実体験に基づく内容です。

