撮影の記事というと、設定や機材の話が中心になります。ただ、10年撮り続けてきて思うのは、技術より先に効いてくるものがあるということです。
それはグラウンドでの立ち居振る舞いです。どれだけいい写真が撮れても、周りに迷惑をかけていたら続けられません。
逆に、うまく撮れなくても、その場にいることを許されていれば撮り続けられます。
この記事では、私がグラウンドで気をつけていることをお伝えします。難しいことではありません。ただ、意識しているかどうかで変わってくる部分だと思っています。
- 移動するタイミングと、通ってはいけない場所
- 他のカメラマンとの距離の取り方
- 相手チーム側で撮るときに、いちばん気をつけていること
基本は「気配を消す」こと

息子の1つ下の代の公式戦に撮影に行った時の写真です。右上に応援席の邪魔にならないように撮影しているカメラマンがいます。
私が心がけていることを一言でまとめると、その場にいることを意識させないということになります。
実は、これは意外と成立しやすいのです。理由は、カメラマンと応援する保護者では、そもそも立ち位置が違うからです。
- 撮影する人は、立って、動きながら撮る
- 応援する人は、席に座って観戦する
つまり後ろのスペースで撮っていれば、お互いに邪魔になりません。座っている人の視界をさえぎることもなく、こちらも自由に動けます。
だから私は、基本的にみんなの後ろにいます。前に出ようとしないだけで、ほとんどの問題は起きません。
応援席の前を通らない
そのうえで、いちばん徹底しているのがこれです。座っている保護者の前を、なるべく通らないこと。
試合を見ている人の前を横切れば、その瞬間だけとはいえ視界をふさぎます。その一瞬に得点が入るかもしれません。自分の子の打席かもしれません。
移動するときは、少し遠回りになっても後ろを回るようにしています。数秒余計にかかるだけですし、それで誰も嫌な思いをしないなら安いものです。
動くのは、プレーが止まっているとき
移動するタイミングも決めています。攻守交替や給水タイムなど、プレーが止まっているときです。
この配慮には、2つの意味があります。
ひとつは、周りへの配慮です。プレー中に人が動けば、視界に入って気が散ります。全員が同じタイミングで動いている攻守交替なら、目立ちません。
もうひとつは、自分のためでもあります。移動中はシャッターが切れません。プレー中に動けば、その間の写真は残らないことになります。
つまり、周囲への気遣いと撮影の効率が、ここでは一致しています。プレーが止まっているときに動く——これを守るだけで、両方が満たされます。
他のカメラマンのフレームに入らない
グラウンドには、自分以外にもカメラを構えている保護者がいます。ここでの配慮は、とくに大事だと思っています。
立ち位置を決めるとき、私は2つのことを同時に考えています。
- ここなら他の人の邪魔にならないか
- ここなら自分の撮りたい構図が撮れるか
周りを見ながら、この両方を満たす場所を探します。撮りたい場所が誰かのフレームに入る位置なら、そこは選びません。
どうしても前に出たいときは、声をかける
とはいえ、どうしてもその位置から撮りたい場面はあります。そういうときは、事前に声をかけます。
「ちょっと前に行って撮影してもいいですか?」
これだけです。ひとこと聞いて、許可をもらってから動く。断られたことはありませんし、聞いておけばお互いに気持ちよく撮れます。
この一言が言えるかどうかは、大きいと思っています。誰でも、自分の子やチームを撮りたい気持ちは同じです。だからこそ、譲り合いと気遣いが必要な場面なのだと思います。
⚠️ 重要ポイント:声をかけられる側になったときも同じ
自分が先に場所を確保していて、他の方から声をかけられることもあります。そのときは快く譲るようにしています。撮影の場所は誰かの所有物ではありませんし、同じ立場の人同士です。譲ってもらった経験があるからこそ、自分も声をかけやすくなります。
相手チーム側では、リアクションを小さくする

先ほどの写真と同じ日の大会で撮影したベンチの様子です。相手チーム側から撮影したことで自分のベンチを撮ることができました。
得点を上げたことでみんなで喜んでいる写真はこちら側でしか撮れません。
いちばん気を使うのが、相手チームの応援席側で撮るときです。
そこは相手の保護者が応援している場所であって、こちらは場所を譲ってもらっている立場になります。ここまで書いてきた配慮を、さらに強く意識します。
具体的には、こうしています。
- 端のほう、後ろのほうで撮る。前や中央には出ない
- 荷物を広げない。占有する面積を最小限にする
- カメラを向ける方向に気をつける。相手チームの子や保護者を意図せず撮らない
そしてもうひとつ、これは自分でも意外だったのですが。
味方がチャンスをつかんだり、ヒットを打ったりしたときのリアクションを、なるべく小さくしています。
相手の応援席の真ん中で自分のチームの得点を喜ぶのは、さすがに気が引けます。正直なところ、自分自身が気まずいというのもあります。
自陣側にいるときは「行けーー!」と叫びながら撮っていますが、反対側ではぐっとこらえる。場所によって、応援の仕方を変えているということになります。
球場ではベンチや待機場所に注意する
球場での試合では、保護者は応援席にしか入れません。そのぶん、グラウンド内で問題が起きることはあまりありません。
ただし、球場の構造によっては注意が必要です。応援席の隣がベンチだったり、別のチームの待機場所になっていたりすることがあります。
そういう場所では、子どもたちや他の保護者の邪魔にならないよう、声をかけたり、気配を消したりして撮ります。
試合前の集中している時間かもしれませんし、監督の指示が出ている最中かもしれません。そこは彼らの場所であって、撮影のための場所ではないという意識を持つようにしています。
「邪魔になっていない」が、いちばんの評価
最後に、正直なところをお伝えします。
こうした配慮について、他の保護者から「助かっている」と言われたことはほとんどありません。
ただ、それでいいのだと思っています。気配を消して、みんなの後ろで撮っているので、そもそも邪魔になっていないからです。
振る舞いへの配慮は、うまくいっているときほど気づかれません。褒められるようなことではなく、問題が起きないという形でしか現れないものです。
逆に言えば、何も言われていないということは、うまくいっているということでもあります。
10年間、撮影について何かを言われたことがない——それが答えなのだと思っています。
まとめ:撮り続けられるかどうかは、技術だけでは決まらない
撮影の腕は、続けていれば上がります。設定も、立ち位置も、タイミングも、場数を踏めば身につきます。
ただ、その場にいられなくなったら、上達する機会そのものがなくなります。だから振る舞いは、技術より先に来るものだと思っています。
- ✅ 座っている人の前は通らない。移動はプレーが止まっているときに
- ✅ 他のカメラマンのフレームに入らない。前に出るなら一言かける
- ✅ 相手応援席では、後ろの端で、リアクションも控えめに
どれも特別なことではありません。ただ、これを毎回やるかどうかだと思います。
グラウンドは、撮影のための場所ではありません。子どもたちが野球をして、保護者が応援する場所です。
私たちはそこに、カメラを持ち込ませてもらっている。その意識があれば、たいていのことは判断できます。
本記事は2026年現在の管理人の実体験に基づく内容です。撮影可能な範囲やルールは、会場・大会・チームによって異なります。実際の撮影にあたっては、主催者やチームの指示に従ってください。

