曇りの日は、少年野球の撮影に向いている日です。帽子やヘルメットのつばの影が薄くなり、晴れの日には隠れてしまう子どもの目元まで写るからです。
弱点は光が足りなくなることですが、対処ははっきりしています。シャッタースピード1/1000秒を守ったまま、ISO感度を上げて明るさを補う。
F値はレンズの開放にしておきます。暗いからといってシャッタースピードを落とすと、投球もスイングもブレます。
この記事では、晴れの日と曇りの日で何が変わるのかを整理したうえで、曇りの日の設定の目安と、失敗しやすいポイントをお伝えします。
息子の中学最後の大会で、曇り空の下で撮れた写真もあわせて紹介します。
- 曇りの日のほうが子どもの表情が写りやすい理由
- シャッタースピード・F値・ISOの目安と、ホワイトバランスの考え方
- 曇りの日にやりがちな失敗と、その回避のしかた
曇りの日のほうが、帽子の下の表情が写る
晴れの日のグラウンドでは、太陽が高い位置から照らすので、帽子やヘルメットのつばが目元に濃い影を作ります。
この影は光が強いほど濃くなるので、明るい日ほど顔が暗く沈みます。露出を上げても、影の部分だけを明るくすることはできません。
曇りの日は違います。雲が太陽の光を散らすので、光がいろいろな方向からグラウンド全体に届きます。
つばの下にも光が回り込むので、影が薄くなり、目元まで写るようになります。

息子が小学生のころ、夏の練習試合でバッターがサインを確認している瞬間です。
この日は天気が良く明るさは十分すぎるほどでしたが、ヘルメットのつばが大きな影を作り、目元が暗くなっています。
体やユニフォームは明るく写っているのに、いちばん残したい顔だけが見えません。

梶原(管理人)
原因が帽子の影だと気づいたのは、かなり後になってからでした。それまでは露出補正を上げたり、AF設定を疑ったり、カメラ側でどうにかしようとしていたんです。
あるとき曇りの日に同じ一塁側から撮ってみたら、帽子の下の目がちゃんと写っていて。
「今日は曇りだからダメだな」と思っていた日のほうが、実は顔が写っていたんです。
「曇り=暗くて撮りにくい日」ではなく、「曇り=帽子の影を気にせず表情を狙える日」と考えると、試合当日の撮り方が変わってきます。
晴れの日と曇りの日で、何が変わるか
「晴れのほうが明るいぶん写真はきれい」という感覚は、風景や花の撮影では正しいことが多いです。
ただ帽子をかぶり、白いユニフォームで、土の上を走り回る少年野球に限ると、話が変わります。
| 確認ポイント | 晴れの日 | 曇りの日 |
|---|---|---|
| 帽子の下の表情 | 影で暗くなりやすい | 影が薄く表情が残りやすい |
| 白ユニフォームの白飛び | 飛びやすい | 飛びにくい |
| 内野・外野の光の均一さ | 場所によって大きく変わる | どこでも均一に撮りやすい |
| ベンチ・整列写真 | 逆光・強い影が入りやすい | 自然な表情で撮れる |
| シャッタースピード(私の設定) | 1/1000秒(快晴なら1/1250秒) | 1/1000秒(足りなければ1/800秒) |
| 必要なISO感度 | 低め(ISO200〜400程度) | やや高め(ISO800〜2000程度) |
| 色の印象 | 鮮やか・コントラストが強い | やや青み・のっぺりしやすい |
表のとおり、シャッタースピードは晴れでも曇りでもほぼ同じです。
天気によって変わるのはISO感度のほうで、カメラをMモード+ISOオートにしておけば、雲の濃さが変わっても明るさは自動で合わせてくれます。
曇りの日が不利なのは、ISO感度が上がることと、色がやや地味になることの2点です。どちらも設定と現像で対処できます。
一方で、少年野球の撮影に直結する「表情」「白飛び」「光の均一さ」は、曇りのほうが有利です。
曇りの日の設定:シャッタースピードを守り、ISOで補う
曇りの日にいちばん多い失敗は、暗いからといってシャッタースピードを落としてしまうことです。
明るさを稼ごうとして遅くすると、ピッチャーのリリースもバッターのスイングも簡単にブレます。
順番はこうです。
- シャッタースピードは1/1000秒のままにする
- F値はレンズの開放にして、少しでも光を取り込む。背景の観客席もボケて、選手が引き立ちます
- ISOオートで明るさを補う。上限は3200を目安に、夕方などさらに暗いときは6400まで
- それでも足りないときだけ、シャッタースピードを1/800秒まで落とす
先に動かすのはISOで、シャッタースピードは最後。この順番を守れば、曇りの日でも動きは止まります。
理由はシンプルで、ブレた写真は後から直せませんが、ISOを上げたことによる多少のノイズは現像で目立たなくできるからです。
体だけでなく、投げる手先や振り抜くバットまで止めるには1/1000秒が必要です。
ノイズを嫌ってシャッタースピードを落とすと、失うもののほうが大きくなります。
⚠️ 重要ポイント:自分のカメラでISOをどこまで上げられるか、先に試しておく
ISO1600前後であれば、α6600のような近年のAPS-C機では十分きれいに撮れます。ただし、許容できるISOは機種によって差が大きいです。
曇りの日の練習試合は、自分のカメラでISOをいくつまで上げられるかを確かめるのにちょうどいい機会です。
なお、あえてシャッタースピードを落として動きの流れを残す撮り方もあります。
ただしそれは「狙って落とす」場合の話で、「暗いから仕方なく落とす」のとは別物です。

息子の中学校最後の中体連市大会、初戦での一枚です。試合中に徐々に曇ってきて薄暗くなってきました。
ただしシャッタースピードを1/1000秒に保ったままISOを上げて対応したことで、ピッチャーが投げ終わった直後の動きをブレなくとらえられました。
そして何より、帽子の影がほとんどなく、表情がはっきり写っています。
冒頭の晴れの日の写真と比べると、明るさが足りているかどうかより、光がどう当たっているかのほうが、写真の仕上がりを左右することがわかります。

梶原(管理人)
最後の市大会で雲が出てきたとき、正直「暗くなってきたな」と思いました。でもシャッタースピードは1/1000秒から下げないと決めていたので、ISOを上げて対応しました。
投げ終わった直後の表情がこれだけはっきり残せた。「曇りのほうが顔が写る」を、この写真であらためて実感しました。
曇りの日の設定の目安
私がα6600とSEL70-350Gで、曇りの日に使っている設定です。試合中は1つの設定で通し、試合前後だけ切り替えます。
| 場面 | 露出モード | シャッタースピード | F値 | ISO |
|---|---|---|---|---|
| 試合中 (投球・打席・守備・走塁) |
Mモード | 1/1000秒 (足りなければ1/800秒) |
開放 (F4.5〜6.3) |
オート(上限3200) 曇りでは800〜2000程度になることが多い |
| ベンチ・表情 | Mモードのまま | 1/1000秒 | 開放 | オート |
| 整列・集合(試合前後) | Aモード | 1/500秒以上を目安 | F5.6〜F8 | オート |
ベンチの表情も、試合中なら設定を変えずにそのまま撮ります。子どもは突然動きますし、声を出す瞬間や笑顔は一瞬だからです。
整列・集合写真だけは全員にピントを合わせたいのでF値を絞り、Aモードに切り替えています。
ホワイトバランスはオートのままで十分
曇りの日の写真は、全体がやや青っぽく写ることがあります。一般的には、ホワイトバランスを「曇天」に設定すると、少し暖かみのある色になると言われています。
ただ、私は曇りの日も含めて、ホワイトバランスは常にオートにしています。試合中に晴れ間が出たり曇ったりする日は、曇天のままだと晴れた瞬間に黄色っぽくなるからです。
天気が変わるたびに切り替えるのは現実的ではありませんし、最近のカメラはオートでも大きく外すことはほとんどありません。
色味が気になったときは、現像のときにまとめて整えれば十分です。試合中に触る設定をひとつ減らせるぶん、撮ることに集中できます。
曇りの日にやりがちな失敗
曇りの日の失敗は、設定そのものより判断のクセから起きることが多いです。内容を次の4点にまとめました。
カメラ任せにして、シャッタースピードが勝手に落ちる
オートモードやプログラムモードのままだと、カメラが「暗い」と判断してシャッタースピードを自動で遅くすることがあります。
気づいたら狙ったシーンが全部ブレていた、ということが起こりやすいです。
曇りの日こそ、Mモード(またはシャッタースピード優先のSモード)で、シャッタースピードを自分で決めておくことが大切です。
白い空を画面に入れすぎる
曇りの日の空は、均一に白っぽく写ります。構図の中に大きく入れると、写真全体がのっぺりした印象になります。
もうひとつ困るのが明るさです。明るい空が画面に広く入ると、カメラは「画面全体が明るい」と判断して、選手を暗めに写してしまいます。
望遠で寄る、カメラを少し下に向けてグラウンドの土や芝を背景にする、などで空を減らすと、選手の明るさが安定します。
どうしても空が入る構図のときは、露出補正を+0.3程度から試してみてください。
子どもの顔や体を中心にして、空は少なめにするか、思い切って入れないほうが写真が引き締まります。
露出をプラスにしすぎる
「暗いから」と露出補正をプラスにしすぎると、白いユニフォームや空が真っ白に飛びます。逆に下げすぎると顔が暗くなります。
露出補正はゼロ付近から始めて、液晶やヒストグラムを見ながら少しずつ調整するのが無難です。
撮って出しのまま共有して、地味な写真で終わる
曇りの日の写真は色がくすみやすいため、撮って出しのまま共有すると「なんとなく地味な写真」になりがちです。かといって彩度を上げすぎると不自然になります。
コントラストをほんの少し上げ、シャドウを少し持ち上げる程度の調整が、曇りの日の写真にはいちばん自然に仕上がります。見た目に近い色に戻す、くらいのつもりで十分です。
それでものっぺりして見えるときは、「かすみの除去」という調整を少しだけかける方法もあります。
曇りの日特有のもやっとした感じが取れて、選手の輪郭がはっきりします。
私が使っているPhotoDirectorにもこの項目がありますが、私自身はコントラストとシャドウの調整だけで十分と感じているので使っていません。
調整を足すなら、という選択肢として覚えておいてください。
青っぽさが気になる写真は、色温度を少しだけ暖かい側に動かすと、肌の色が自然に戻ります。どちらも上げすぎると不自然になるので、少しずつが基本です。
📄 関連記事
少年野球の写真で顔だけ暗いときの直し方|部分補正で明るくする手順
全体を明るくすると空まで白くなってしまう場合は、顔だけを部分的に調整する方法があります。
グラウンドの逆光で子どもの顔が暗くなる時の対処|フードと立ち位置の工夫
曇りとは逆に、晴れの日の逆光で顔が暗くなるときの対処法です。
曇りの日は、試合前後の表情も撮っておく
曇りの日に私が意識していることを、最後に書いておきます。
少年野球を長く撮っていると、あとから見返して「残してよかった」と思う写真の多くが、じつは曇りの日のものだったりします。
理由はシンプルで、曇りの日は顔が写るからです。帽子の下の目線、声を出す口元、三振した後の悔しそうな横顔、試合が終わったあとのほっとした表情。

先ほどのピッチャーと同じ中体連市大会で、バッターをアップで撮った一枚です。
曇りの光が選手全体に均一に当たっているため、ヘルメットのつばの下も明るく、目元から口元まで表情がはっきり残っています。
晴れの日に同じアップで撮っていたら、ヘルメットの影で顔の上半分が暗くなっていたはずです。曇りの日の均一な光は、バッターをアップで撮るほど違いがはっきり出ます。

梶原(管理人)
ある秋の曇りの試合で、負けた直後にグラウンドへ一礼する息子たちの背中を三塁側から撮りました。
ISO1250、シャッター1/640秒で、上の表でいう「整列・集合」の設定です。
光は地味そのものでしたが、ユニフォームの白と泥の汚れ、うつむいた横顔まではっきり写っていて。
晴れの日の派手な写真より、ずっと見返す回数が多い一枚になっています。
試合前のキャッチボール、ベンチから仲間に声をかける姿、試合後に整列してお辞儀する背中、グラウンド整備をする後ろ姿。
こういった場面は、強い光よりも曇りの日の均一な光のほうが自然に残ります。
曇りの日は、プレーだけでなく、試合前後の表情や様子もていねいに撮っておく日と考えると、シャッターを切る対象が広がります。
📄 関連記事
表情が撮りやすい日は、出番のない子にもカメラを向けるタイミングです。全員を記録するための考え方をまとめました。
プレー以外の場面にも、記録する価値があります。
まとめ:曇りの日はISOで補い、表情を撮る
曇りの日の少年野球撮影は、「なんとなく撮りにくい日」ではありません。
帽子の影が薄くなり、白いユニフォームが飛びにくく、グラウンド全体の光が均一になる。子どもの表情を残すのに向いた日です。
- ✅ 曇りの日は帽子の影が薄くなり、目元まで写る。表情を狙う日と考える
- ✅ シャッタースピードは1/1000秒を守り、ISOで補う。足りないときだけ1/800秒まで
- ✅ F値は開放、ISOはオートで上限3200。試合中は1つの設定で通す
- ✅ ホワイトバランスはオートのまま。天気が変わっても触らずに済み、色味は現像で整える
- ✅ 白い空を入れすぎない。子どもの顔と体を中心に構図を作る
次に曇りの日の試合があったら、バッターを一度アップで撮ってみてください。晴れの日には写らなかった目元が、はっきり写るはずです。
本記事は2026年現在の管理人の実体験に基づく内容です。カメラや機材の仕様は変更になる場合があります。最新情報はメーカー公式サイト等でご確認ください。
※掲載写真は、個人が特定できないよう加工しています。

